TELの2021年上半期の決算
2021年上半期の連結売上高は 956億2,300万ペソで、前年同期の 867億3,500万ペソに比べて 88億8,800万ペソ(10%)増加しました。これは主に、無線および固定通信事業部のデータおよびブロードバンド・サービスの収入が増加したこと、および固定通信事業部の音声サービスの収入が増加したことによるものです。
連結費用は、前年同期の648億1,900万ペソから111億8,000万ペソ(17%)増加して、759億9,900万ペソとなりました。これは主に、販売費及び一般管理費が増加したことによるものです。
連結その他の費用は 29 億 1,600 万ペソで、前年同期の 47 億 9,700 万ペソから 18 億 8,100 万ペソ(39%)減少しました。
連結純利益は、前年同期の124億2,300万ペソから6億4,500万ペソ(5%)増加して、130億6,800万ペソとなりました。これは主に、無線事業セグメントの純利益が減少したものの、固定回線およびその他事業セグメントの純利益が増加したことによるものです。
連結コア収入は 153 億 2300 万ペソで、前年同期の 129 億 8100 万ペソから 23 億 4200 万ペソ(18%)増加しました。これは主に、EBITDA、関連会社および合弁会社の純利益の持分法による投資、その他の雑収入が増加したことによるもので、減価償却費や金融費用の増加により一部相殺されています。
TELの2021年上半期の財務状況
2021年6月30日時点の連結資産は、2020年12月31日時点の5,758億4,600万ペソに対し、6,009億4,700万ペソとなりました。
連結ベースの現金・現金同等物および短期投資は2020年12月31日時点の402億3,700万ペソに対し、2021年6月末時点では231億7,000万ペソとなりました。
TELの2021年上半期の連結キャッシュ・フロー計算書
営業活動による連結キャッシュ・フローは、2021年6月30日時点で441億2,400万ペソとなりました。前年同期の338億9,000万ペソから102億3,400万ペソ(30%)増加しました。これは主に、買掛金の決済額の減少、債権の回収額の増加、および営業利益の増加によるものです。営業活動によるキャッシュ・フローは会社の本業を示す部分なので、プラスになっているのが望ましいです。
投資活動による連結キャッシュ・フローは、2021年6月30日時点で569億2,000万ペソとなりました。前年同期の395億7,800万ペソから173億4,200万ペソ(44%)増加しました。有形固定資産の購入にかかる支払額が増加したことなど、複合的な影響によるものです。投資活動によるキャッシュ・フローは成長に向けて積極的に投資を続けている会社であれば、マイナスとなるのでマイナスになっているのが望ましいです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2021年6月30日時点で43億5,500 万ペソとなりました。前年同期は273億9,600万ペソでした。長期借入金の利用による収入の減少など、複合的な影響によるものです。財務活動によるキャッシュ・フローがプラスの場合は、設備投資などのために借入れを行っています。財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの場合は、借入金の返済を行っています。
TELの2021年上半期の経営状態
売上高総利益率は販売する品物や提供するサービスの利益率のことです。業種によって違いはありますが20%以上を目安としています。
売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合を表す指標です。業種によって違いはありますが10%以上を目安としています。
自己資本利益率 (ROE)は自己資本を活用して利益をどれくらい計上できたかを見る指標です。10%以上を目安としています。
総資産利益率 (ROA)は、資産全体に対して、どれだけの利益が生み出されているのかを計る指標です。5%以上を目安としています。
売上総利益率: 94.71%
売上高営業利益率: 74.20%
ROE: 10.83%
ROA: 2.17%
自己資本比率は、比率が高いほど、企業が必要な資産を最小限の負債で効率的に調達していることを示しています。業種により比率は違いますが、30%以上は良好です。
流動比率とは、すぐに現金化できる流動資産がどれくらいあるかを示しています。130~150%ほどが通常で100%を切っていたら、危険水域です。
当座比率が100%以上あれば、短期債務返済能力は十分あるものと判断することができます。
負債比率は、負債比率は、企業の資産のうち負債によって賄われているものの割合を示す財務比率です。100%を超えると借金への依存度が高くなります。
固定比率は、自己資本に対する固定資産の割合のことです。100%が基準となり100%を超えると借金で固定資産を調達しています。
固定長期適合率は、数値が低ければ安全性があり、100%を超えると資金繰りが苦しいです。
自己資本比率: 20.09%
流動比率: 197.30%
当座比率 : 17.55%
負債比率: 397.87%
固定比率 : 64.88%
固定長期適合率: 23.30%
キャッシュフローマージンは、売上がどれくらい効率的にキャッシュフローを稼いでいるかを示す指標で、15%以上を目安としています。
利益構成比率は、営業キャッシュフローにおける利益と減価償却費の割合を見る指標で、低い方が安定的なキャッシュフローを見込めます。目安は50%以下です。
キャッシュフローマージン: 46.14%
利益構成比率: 34.92%
TELの株価
企業名: PLDT, Inc. (TEL)
セクター: サービス
サブセクター: 通信
時価総額: 3,469億8,557万4,650.00ペソ(2021年10月25日付)
浮動株比率: 42.07%
* 2022年12月からは、指数への組み入れに必要な浮動株比率が20%に引き上げられます。
したがって、当サイトでは20%を下回る場合は低いと判断しています。
EPS: 59.67ペソ
BPS: 536.72ペソ
PER: 13.49倍
PBR: 3.00倍
TEL(Philippine Long Distance Telephone Company)は、1928年11月28日、米国の所有する4つの電話会社の合併により設立されました。2016年7月29日、証券取引委員会は、現在の社名への変更を承認しました。TELは、フィリピンにおける総合的な通信サービスプロバイダーであり、事業活動は無線、固定回線、その他の3つのユニットに分類されます。当社は、フィリピンで最も広範な光ファイバーバックボーン、固定回線、および携帯電話ネットワークを運営しています。無線通信サービスは「Smart」、「TNT」、「Sun Cellular」のブランドで、固定通信サービスは「PLDT HOME」、「PLDT ENTERPRISE」のブランドで提供しています。
TELの週足チャートはAOTSを描き始めていますが、ここ数週間は勢いがなくなり下落しそうです。高値掴みに注意が必要です。株価のサポートは1,420ペソ、レジスタンスは1,755ペソです。
まとめ
TELの2021年上半期の決算内容は、売上総利益率は94.71%、売上高営業利益率は74.20%でした。両方とも効率よく利益を出しています。ROEは10.83%、ROAは2.17%でした。株主資本からは効率良く利益をだしていますが、資産全体から効率良く利益を出せていません。
自己資本比率は20.09%、流動比率は197.30%、当座比率は17.55%、負債比率は397.87%、固定比率は64.88%、固定長期適合率は23.30%でした。自己資本比率と当座比率は低く、短期債務返済能力が低く、借金への依存度はかなり高いですが、現在、資金繰りが苦しい状態ではありません。
キャッシュフローマージンは46.14%、利益構成比率は34.92%でした。効率的にキャッシュフローを稼いでいて、安定的なキャッシュフローが見込めます。
EPSは59.67ペソ、BPSは536.72ペソ、PERは13.49倍、PBRは3.00倍でした。やや割高です。
経営状態と株価を総合的に見ると、5段階評価 (S, A, B, C, D)はAランクで良いです。
ランク
上記まとめの16項目 (各1ポイント)を元にランク付けしました。
過去に自己分析した銘柄も記載しています。
S 非常に良い (13~ )
16.
15.
14.
13.
A 良い (10~12)
12.
11. MPI, TEL
10. MONDE, AGI
B 普通 (7~9)
9. FLI, RLC, AEV
8. PGOLD, CNVRG, VLL, AP, ACEN
7. JFC, ALI, AC, SSI, MM, MEDIC, GLO
C 悪い (4~6)
6. SM
5. AREIT
4.
D 非常に悪い (0~3)
3. ALLDY
2.
1.
0. CEB