ACの2021年上半期の決算
2021年上半期の売上高は、前年同期比24%増の1,220億ペソとなり、アヤラの多様なポートフォリオが業績を支えました。
ALIの売上高は、建設工事の継続的な進捗と不動産開発の予約増加により、19%増の490億ペソとなりました。
BPIの売上高は、多様な事業を展開していますが、ローン需要の低迷により、7%減の481億ペソとなりました。
GLOの売上高は、パンデミックの中でモバイルおよび家庭用ブロードバンドデータの需要が継続したことにより、4%増の755億ペソとなりました。
ACENは、電力需要がパンデミック前の水準に戻り、再生可能エネルギーの容量が増加したことにより、売上高は35%増の134億ペソとなりました。
AC Industrialsの売上高は32%増の407億ペソとなりました。IMIは、昨年の健康危機の際の検疫規制の緩和や、各事業の需要の回復に伴い、製造工場の稼働率を高めました。
2021年上半期の純利益は104億ペソとなり、前年同期に比べ31%増加しました。事業部門の業績向上がAyalaの収益を支えました。
ALIの純利益は34%増の60億ペソとなりました。パンデミックが発生した2020年の上半期と比較して、業績が大幅に改善しました。
BPIの純利益は、貸倒引当金の減少により、1%増の118億ペソとなりました。
GLOは、サービス総収入の増加およびCREATE法の好影響により、純利益が13%増の130億ペソとなりました。
ACENは、電力需要がパンデミック前の水準に戻ったことにより、純利益が5%増の27億ペソとなりました。
MWCの純利益は、前年同期に計上された引当金や調整金がなくなったことなどにより、10%増の27億ペソとなりました。
AC Industrialsは、IMIやAC Motorsなどの子会社の業績が改善したことにより、純損失が前年度の18億ペソから5億9,200万ペソに縮小しました。
ACの2021年上半期の財務状況
ACの2021年6月30日末時点での総資産は、2020年末時点から5.3%減少し、1兆3,300億ペソとなりました。これは主に、マニラウォーターが連結から外れたことにより、PFRS5に基づく資産が69%減の613億ペソとなったことによるものです。
現金・現金同等物および短期投資は、AC Industrials、IMIおよびAC Infrastructureにおける資本注入、ALIの購入、ALIの配当金支払いおよび自己株式の償還、仕入債務の支払いおよび現金回収の減少があったものの、ACENの配当金支払いにより、2%増の916億ペソとなりました。
その他の流動資産は、ALIの既存プロジェクトの前渡金や前払い金の増加により、12%増の832億ペソとなりました。
その他の固定資産は、主にACENが金融資産および償却原価法による投資を追加したことにより、5%増の616億ペソとなりました。
総負債は、2020年末時点の水準から3%増加し、4,539億ペソとなりました。これは、ALIとAC Industrialsが、長期借入金の返済と事業拡大のために借入を行ったためです。
ACの2021年上半期の連結キャッシュ・フロー計算書
営業活動による連結キャッシュ・フローは、2021年6月30日時点で72億8,200万ペソとなりました。営業活動によるキャッシュ・フローは会社の本業を示す部分なので、プラスになっているのが望ましいです。
投資活動による連結キャッシュ・フローは、497億8,700万ペソでした。投資活動によるキャッシュ・フローは成長に向けて積極的に投資を続けている会社であれば、マイナスとなるのでマイナスになっているのが望ましいです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、2021年6月30日時点で235億5,400万ペソとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローがプラスの場合は、設備投資などのために借入れを行っています。財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスの場合は、借入金の返済を行っています。
ACの2021年上半期の経営状態
売上高総利益率は販売する品物や提供するサービスの利益率のことです。業種によって違いはありますが20%以上を目安としています。
売上高営業利益率とは、売上高に対する営業利益の割合を表す指標です。業種によって違いはありますが10%以上を目安としています。
自己資本利益率 (ROE)は自己資本を活用して利益をどれくらい計上できたかを見る指標です。10%以上を目安としています。
総資産利益率 (ROA)は、資産全体に対して、どれだけの利益が生み出されているのかを計る指標です。5%以上を目安としています。
売上総利益率: 23.22%
売上高営業利益率: 10.78%
ROE: 2.37%
ROA: 0.98%
自己資本比率は、比率が高いほど、企業が必要な資産を最小限の負債で効率的に調達していることを示しています。業種により比率は違いますが、30%以上は良好です。
流動比率とは、すぐに現金化できる流動資産がどれくらいあるかを示しています。130~150%ほどが通常で100%を切っていたら、危険水域です。
当座比率が100%以上あれば、短期債務返済能力は十分あるものと判断することができます。
負債比率は、負債比率は、企業の資産のうち負債によって賄われているものの割合を示す財務比率です。100%を超えると借金への依存度が高くなります。
固定比率は、自己資本に対する固定資産の割合のことです。100%が基準となり100%を超えると借金で固定資産を調達しています。
固定長期適合率は、数値が低ければ安全性があり、100%を超えると資金繰りが苦しいです。
自己資本比率: 41.23%
流動比率: 170.23%
当座比率 : 73.50%
負債比率: 142.54%
固定比率 : 143.62%
固定長期適合率: 77.87%
キャッシュフローマージンは、売上がどれくらい効率的にキャッシュフローを稼いでいるかを示す指標で、15%以上を目安としています。
利益構成比率は、営業キャッシュフローにおける利益と減価償却費の割合を見る指標で、低い方が安定的なキャッシュフローを見込めます。目安は50%以下です。
キャッシュフローマージン: 6.84%
利益構成比率: 58.39%
ACの株価
企業名: Ayala Corporation (AC)
セクター: 持株会社
サブセクター: 持株会社
時価総額: 4,895億5,956万2,710.00ペソ(2021年9月6日付)
EPS: 15.28ペソ
BPS: 522.29ペソ
PER: 25.88倍
PBR: 1.51倍
ACは、1834年に設立され、1968年1月23日に法人化され、1976年にフィリピン証券取引所に上場しました。ACは、アヤラグループの持株会社であり、不動産、金融サービス、通信、水、産業技術、電力、インフラ、ヘルスケア、テクノロジーベンチャーなどを主要事業としています。
ACの週足チャートは、20週移動平均線(緑の線)と50週移動平均線(オレンジの線)より上で推移をしています。200週移動平均線(ピンクの線)を突破できるか注目です。株価のサポートは685.00ペソ、レジスタンスは870.00ペソです。
まとめ
ACの2021年上半期の決算内容は、売上総利益率は 23.22%、売上高営業利益率は10.78%でした。両方とも効率よく利益を出しています。ROEは2.37%、ROAは 0.98%でした。売上総利益率 や売上高営業利益率は良かったが、ROEやROAは低く効率よく資産を活用できていません。
自己資本比率は41.23%、流動比率は170.23%、当座比率は73.50%、負債比率は142.54%、固定比率は143.62%、固定長期適合率は77.87%でした。短期債務返済能力は低く借金への依存度は高いですが直ぐに資金繰りに困る事はありません。
キャッシュフローマージンは6.84%、利益構成比率は58.39%でした。効率的にキャッシュフローを稼いでなく、安定的なキャッシュフローは見込めません。
EPSは15.28ペソ、BPSは522.29ペソ、PERは25.88倍、PBRは1.51倍でした。PERとPBRが高く株価はやや割高です。
経営状態と株価を総合的に見ると、5段階評価 (S, A, B, C,D)はBランクで普通です。
ランク
上記まとめの16項目 (各1ポイント)を元にランク付けしました。
過去に自己分析した銘柄も記載しています。
S 非常に良い (13~ )
16.
15.
14.
13.
A良い (10~12)
12.
11. MPI
10. MONDE
B普通 (7~9)
9.
8. PGOLD, CNVRG, VLL
7. JFC, ALI, AC
C 悪い (4~6)
6.
5.
4.
D 非常に悪い (0~3)
3.
2.
1.
0. CEB